2100/12/31pa-ha
Infomation
Misc. |
- この日記はkzhrのウェブサイト、karpaの出張所@はてなぐるぷおヴゐきぺぢあです(karpa はすくなくとも「私のこと」ではありません)。持說に靡く人がゐないのをいいことに好き勝手書いてゐます。UnicodeのCJK擴張までの漢字が見境なく使はれてをります。JIS X 0208で見るにはno titleをご利用ください。
- 青空文庫の聲明「著作権保護期間の70年延長に反対する」にKzhrは贊意を示します。
- Now I am proposing logo modifying on Wikipedia‐ノート:ロゴとスローガン - Wikipedia. Any comments are welcome!
pa-ha
Misc. |
私への質問?をここに受け付けてみるテスト。ちなみに、pa-ha とは pali で question の意。
- 彼女ゐますか
- 思ひ人も含めてゐないと見られてゐるやうです。えへ(謎)。
ウィキメディア財團プロジェクトで註記が必要な語彙群
Misc. |
- 邦譯
- わが國
- われわれ
- 海外(や、「特定の國々、地域 vs 他の國々、地域」といふ書き方)
- 都市名・地域名(國などの上位槪念の註釋が必要)
- 一般名詞がある特定の事象を指す語として通用してゐる語(「戰後」など)
これらは成る丈遣はないはうがよいとの意見もある。
日本では、と書けば安心するひとも多いが、世界*1的に共通することなのに全部日本の特例のやうに書かれてもアクセスする場所を問はない事典として價値が落ちる。日本と斷る必要があることのみさう書くべき。優秀な執筆者でもこの手の陷穽にしばしばはまつてゐるのでfmtが大變なんですよ。
*1:謎
karpa2006/10/17 23:13過去のコメントは: http://wikipedia.g.hatena.ne.jp/karpa/20061017/1161094353
- http://wikipedia.g.hatena.ne.jp/gleam/20040921
- http://wikipedia.g.hatena.ne.jp/Britty/20041119
- http://shotai.g.hatena.ne.jp/karpa/20050211
- http://wikipedia.g.hatena.ne.jp/Britty/20050223
- Brittys Wake on Wikimedia - [meta][*jp] Wikipedia お国振り
- http://d.hatena.ne.jp/Kasumoerer/20070503
- Brittys Wake on Wikimedia - いま帰ったよ
2009/10/19ウィキペディア博論
Ortega Soto, J. F. (2009) Abstract. In Wikipedia: A Quantitative Analysis. Dissertation to Universidad Rey Juan Carlos.
ウィキペディア | |
Ortega Soto氏の博論、Wikipedia: A Quantitative Analysisの概要だけ訳してみようと思ひます。原ライセンスが、CC by-sa 3.0なので、本訳文もそれに従ひます。著者は、スペイン、マドリッドのフアン・カルロス王大学通信・コンピューター・システム学部で博士号を取得したやうですね。
現在、ウィキペディア・プロジェクトは、人類の歴史のなかで、もっとも巨大な協同の共同体の地位にある。貢献者数のおほさや、それにしたがってウェブでのウィキペディアの認知度が上がるのによって、おほくの学術分野からの研究者の関心を惹くやうになった。しかし、ウィキペディアについての学術的出版は近年とみに増えてゐるが、しばしばそれらは、プロジェクトのごくかぎられた側面や、特定の言語版にのみ特化してゐることが多い。その結果、ウィキペディアやウィキペディアの投稿者コミュニティ、このプロジェクトの経年的変遷の全体像を掴むためには、これまでの研究を拡げなければならない。この博士論文では、ウィキペディアの上位10言語の版について、さまざまな側面から定量的な分析を与へる。主たる目標は、ウィキペディアとその著者コミュニティの鍵説明項と構造項の経年的変遷をたどることにある。この分析は、ログインした著者(プロジェクトに参加するにあたって、個人のアカウントを作成した者)に特化してゐる。この比較研究では、一般的な漸進項や;ウィキペディア・コミュニティの著者コミュニティにおける内部的な社会構造と層化の詳細な検討;著者間や項目間にある貢献の度あひの不均衡さ;ウィキペディア・コミュニティの参加者層調査;ウィキペディアの項目の質と、個々の著者の信頼度を測るための基礎指標を包含してゐる。この論文においてあきらかにした主だったことがらが、今後数年のウィキペディアの持続成長性にどのやうに影響するか論じて結論とする。
経年的な貢献の不均衡さの度あひや、この論文で見出された追加的な鍵概念の変遷の分析によって、ときが経つほどに、もっとも活動が顕著な著者によって消費される「作品」が漸増する傾向にあるといふことが明らかになった(The analysis ... reveals an untenable trend towards progressive increase of the effort spent by teha most active authors, as time passes by)。この傾向は、つひには、それらの著者が、月になしうる上限の編集数に達したとき、月間の総編集数が減少傾向に転じ、ウィキペディア全体のコンテンツ作成や改訂作業の停滞をも引き起こすだらう。最後に、研究者コミュニティへの重要な貢献は、WikiXRayである。これは、この論文にまとめられた分析をなすために開発されたソフトウェア・ツールである。このツールは、ウィキメディアの公開リポジトリからデータベースダンプを取得し、鍵指標や記述項を得るための操作をし、てもとのデータベースに収めて、経験的分析をするための準備を自動化する。
以下略。
2009/09/01朋有遠方自來亦樂不乎
Wikimedia Conference Japan 2009受付開始
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ウィキペディアなどのウィキメディア財團のプロジェクトのユーザが日本で會す、Wikimedia Conference Japan 2009が、ユーザ有志によって、2009年11月に東京で開催されます。
わたくしも運營スタッフの末席を汚してをりますが、その參加受付を本日より開始しました。有料のイヴェントですが、ぜひともお越しください。
Wikimedia Conference Japan 2009發表募集
Misc. | |
Wikimedia Conference Japan 2009では、ウィキメディアンの交流の場となるべく、さまざまな企劃をしてをります。そこで、さまざまな發表を募って、さまざまな分野で活動してゐるウィキメディアンが糾合するお手傳ひをしたいと思ってをります。
發表の申込や、募集してゐる發表の形式などは、発表の受付 - Wikimedia Conference Japan 2009をご覽ください。
2009/02/23‘In the old age black was not counted fair, / Or if it were, it bore not beauty’s name;’
RNA Biology誌、投稿者にウィキペディアの項目に研究成果を反映させるやう求める
ウィキペディア | |
訂正がありますので、最後までないし次節もお読みください。
いささか旧聞に属することになりますが、生命科学のRNA Biology誌が、論文投稿者に、ウィキペディア英語版の、研究したRNA構造に関する項目をひとつ以上作成するやう求めるやうになりました*1 *2 *3。しかし、Kstigarbhaさんがそれってある意味、独自の研究じゃないの?晴れ時々維基計画日和
と仰り、Times Higher Education紙の読者コメントにNot to mention a very strong "conflict of interest" guideline?Paul Wehage
とあるやうに、この方針がウィキペディアとでうまく行くだらうか、といふのは当然の懸念もあります。
なぜ、このやうな執筆方針が打ち立てられたのか。ウィキニュースによると、Sanger Instituteといふ機関の運営する、RNAファミリーについての研究データベース、Rfamのティームが、2007年からRfamの成果をウィキペディアに反映させてゐたといふことに起るやうです。雑誌編輯者は、このモデルを採用することにより、ウィキペディアに書くことが、科学者が論文を出す作業の一環となり、ウィキペディアに投稿しやすくなるとしてゐます。
Kstigarbhaさんのご懸念の、独自研究 (Original Research) ではないかといふご指摘、また、Times Higher Education紙の読者コメントで指摘された、“Conflict of Interest”*4の問題はどうでせうか。執筆要項を読むかぎり、その危険性は避けられてゐるやうに思ひます。ニューズではあまり触れられてゐませんでしたが、執筆にあたっては、ユーザ登録をし、そのサブページに原稿を作成、論文原稿とともに査読を受け、論文とウィキペディアの原稿の査読が通過し、論文が出版されるにおよび、ウィキペディアの項目として反映させることとされてゐます*5。ウィキペディアにおける独自研究といふものは、ある主張が、知識として受け入れられてをらず、たんにその場で書かれたにすぎないといふことも意味します。しかし、論文執筆者のオリジナルな——まだ知として受け入れられてゐない——結論や成果を盛り込んだ項目の草稿も、論文掲載決定を待ってウィキペディアの内容として反映させることにより、受け入れられたといふことを容易に示し得ます。すくなくとも、独自研究が横行する形態をRNA Biology誌は選ばなかったと言へるでせう。
さて、さうはいっても実際はどのやうになってゐるのでせうか。ウィキニュースによると、最初に投稿に至ったのはSmY RNAであるやうです。履歴によると、2008年11月にSeaneddy氏のサブページとして初版が投稿され、12日後にウィキペディアの項目として投稿されました*6。RNA Biology誌の論文掲載の順序はわたくしにはわからないのですが、ずいぶんと早く査読を終へてゐるのだなといふ印象をうけます。あるいは、実験的に査読の最終段階で執筆を求められたのでせうか。その内容を見てゆくと、初版が投稿された日におほむね内容は完成し、トークページに寄せられた意見で多少の改訂があって、投稿に至ってゐます。執筆者は、自信の成果について触れず、既存の文献のみで解説してゐましたが、あとで書きくはへられたところによると、Thomas A. Jones, et al. A survey of nematode SmY RNAs. [RNA Biol. 2009 Jan-Mar]がその文献となるやうです*7。Seaneddy氏は、投稿後は編輯に参加せず、現在は、ウィキペディアンの手によって構成がいくぶんか変化してゐます。
RNA Biology誌の今号の目次を見るかぎり、論文はこのJones氏らのもの一報あるのみですので、まだまだ試行ははじまったばかりで、あまり数がないやうです。それでも、現時点で見えてきさうな問題はあるでせうか。独自研究といふ問題こそ、ウィキペディアの一定の項目より低いとはいへ学術界とウィキペディアとは違ふ世界であり、いくつかの問題が考へられます。それには、論文執筆者がウィキペディアと親和的に取り組んでゆけるだらうかといふこと、百科事典項目の査読や執筆の負担、査読過程がどのやうにあるべきか、とのみっつの問題があるやうに思ひます。
論文執筆者は、たいていウィキペディア初心者——newbies——であるわけですが、newbiesとoldiesが対立する、よくある構図が、研究者だからといって起らないわけではありません。Seaneddy氏が投稿したあと、文章じたいに大差はないものの*8、構成などがおほきく変化しました。もちろん、基本的にウィキペディアンはこのやうなnewbiesのかきものをウィキペディア化することにてだれであって、ふつうであれば問題はないのですが、では問題が起こりえないのか。今回、Seaneddy氏はプレヴュー機能をほとんど用ゐなかったやうなのですが、日本語版ウィキペディアでそのやうなことをすれば、すぐ会話ページに注意が来て、悶着にならないとはかぎりません*9。また、Seaneddy氏は画像を投稿してゐましたが、画像のライセンス問題が出てくる虞も十分あります。RNA Biology誌編輯部はこのやうな問題をバックアップできるのでせうか? あるいは、RNA Biology誌が執筆者に全面的に任せるのであれば、なぜウィキペディアへの投稿義務を設けるのでせうか。
査読者や執筆者の負担も、今後問題となってくるかもしれません。Seaneddy氏が、自身の論文に触れなかったやうに、百科事典になにを書くか、といふのはつきせぬ問ひです。触れなければならないこと、といふのがあるていどはあるにせよ、それは研究のつみかさねにおいてあきらかになることでもあり、研究のうへで当然する先行研究レヴューとは性質の違った解説をしなければなりません。執筆者にどこまで書くやう求めるべきなのか。基礎的な項目が欠けてゐれば、そこまで手を出す必要があるのか。ないのであれば、リンクがひとつもない項目となりかねないのをどうすればよいだらうか。また、このやうなレヴューを査読するのは、それなりの知的労働ですし、また、論文査読とは違った評価基準があります。それを、プロの百科事典編輯者ではないRNA Biology誌編輯部と査読者が担ひきれるのか、といふのは重要な問題であるやうに思ひます。
最後は、さほど問題ではないかもしれません。査読が通ったことをどうやってわたしたちは知ることができるのか、といふのがこの問題です。初版から時期をおいておほはばな改訂などがあればそれで信じるべきなのかもしれませんが、わたしたちはそれがジャーナルに要求されて作られたのだといふことを最初は知らなければ、ほんたうに査読を受けたのかもわかりません。RNA Biology誌が査読した、といふことは情報として与へないべきなのか、与へるべきなのか。さうであれば、どのやうにすべきか、といふのは、課題としてよいのではないでせうか。
以上3点を指摘しましたが、しかし、このとりくみがウィキペディアと学術界を積極的に繋ぐものとしておほきな意義を持つのはたしかであるやうに思ひます。続報を期待したいものです。
訂正→RNA Biology誌のRNAファミリー・セクションへの投稿者はウィキペディアへの執筆を求められる
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さきの投稿ですが、一部あやまりがありましたので修正いたします。RNA Biology誌に新設された“RNA Family”といふセクションに投稿する論文について、項目の執筆を求めるものでした*10 *11。RNA Biology誌に投稿された論文すべてについてウィキペディアの項目の作成が義務づけられたのかと思ってゐたのですが、ニューズの記載を読み落としてをりました*12。
“RNA Families”のトラックの開設を告げるGardnerの文章では、There will be two extra requirements for publication in this track; … secondly the generation or update of a corresponding entry in the online encyclopedia WikipediaGardner and Bateman: 2
とあり、ウィキペディアの対応項目の新規執筆ないし加筆と明記されてゐます。このレターによれば、ウィキペディアの項目を改善することは、Googleでもっとも発見しやすいウィキペディアの情報を信頼できるものにすることに科学者が取り組める点で優れてゐるとあります。
Rfamの取り組みは、ウィキペディア英語版のRNA WikiProject*13として行はれてゐたものださうで*14 *15、Nature News紙によれば、「ウィキペディアと伝統的な学術雑誌を、(学術雑誌の)査読システムも取り込んだかたちで、つなげられたことに新奇性がある」と、Sanger InstituteのBateman氏が述べたさうです。Nature Science紙では、さらに、Novartis Research Foundationが、おなじく英語版ウィキペディアで取り組んでゐる、Gene Wiki*16や、生命科学者が独自に運営してゐるWikiomics.orgの紹介もしてゐます。
さうすると、懸念の2番目に挙げたことは、当面は杞憂のやうです。しかし、これをさらに拡充しようといふとき、問題が起りさうではありますね。これは研究活動の社会還元を考へるとき、なにかしら起こりうる問題でもあり、倦まずに取り組んでゆかねばならないことなのでせう。
*1:Butler, Declan. “Publish in Wikipedia or Perish.” Nature News. Dec 16, 2008.
*2:“RNA journal submits articles to Wikipedia.” Wikinews Dec 19, 2008.
*3:Newman, Melanie. “Journal authors must also post to Wikipedia.” Times Higher Education. Jan 12, 2009.
*4:“Conflict of Interest”の問題を端的に云へば、ウィキペディアを自己の主張の場とすべきではないといふことです。
*5:Landes Bioscience Journals: RNA Biology: Guideline for Authors
*6:Revision history of SmY RNA - Wikipedia, the free encyclopedia
*7:Seaneddy氏は、第4投稿者のSean Eddy氏なのでせう。
*8:Jones氏らの論文を追加されたときに、その成果について1段落書かれはしましたが
*9:研究者が人間的に倫理的とはかぎらないのです!
*10:Gardner, Paul P., and Alex G. Bateman. “A home for RNA families at RNA Biology.” RNA Biology 6 (2009: 2-4
*11:先述、Nature News, Wikinews参照。
*13:Wikipedia:WikiProject RNA - Wikipedia, the free encyclopedia
*14:Daub, Jennifer, Paul P. Gardner, John Tate, et al. “The RNA WikiProject: Community annotation of RNA families.” RNA 14 (2008): 2462–64.
*15:前述、Nature News。
2008/11/19昨日のわたしは今日のわたしでない
ウィキメディアへの寄附
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日本語版ウィキペディアの周邊でウィキメディア財團に寄附する、といふと、しばしば、サーバが增えるとか、どうも、さういふ發想になるやうである。
ウィキペディア開始直後から、おととしあたりまでは、それであながち誤りでなかった。人件費もほぼなく、サーバと帶域だけ、といふ印象になってしかたもなかった。
しかし、ウィキメディア財團は、べつに、ウィキペディアのサーバが落ちないやうにしてゐるのではない(もちろん、落ちないやうにするためには、いろいろ費用がかかるのだが)。ウィキメディアのプロジェクトが囘るやうにしてゐるのである。そのためには、サーバを維持・增强するだけでなく、ウィキメディアのプロジェクトの可能性を高めたり、プロジェクト內部の活動も順調にしたりしなければならないのであって、この2年ほどで、そのやうな組織體が成立してきたと言ってよいだらう。
いまの體制はけして十分なものではなく、それがこけてゐないのは、確實に、beginner's luckのたぐゐである。持續的な體制にしてゆくために、ウィキメディアの組織はまだやりやうがあるし、そのためには、いままでのやうな費用では立ちゆかない。今年の收入目標*1が、前年比で3倍にもなるのはそのやうな體制に變へようとしてゐるところから來るのであるが、そのやうな變化は目に見えないからか、知られないやうである。
もちろん、ウィキメディア財團のうごきだけが、ウィキメディア財團のプロジェクトのうごきではないし、むしろそのはうが耳目を引くから、ウィキペディアに寄附募集があるだけで、理解を得られないことがあるかもしれない。ただ、どうか、ウィキペディアがどのやうな足腰を持ち、それを維持するためにどのやうな努力がなされてゐるのかお知りになって、編輯への參加によって、あるいは・くはへて、寄附によって、ウィキペディアを維持する一助を賜るやう、ウィキメディアのプロジェクトに參加するものとして、お願ひしたいのである。
*1:寄附達成目標は、同時に、收入目標である。弘告が大きいのはこのためである。